「最近は、子供の方が英語をうまく話す」そんな話をよく聞くようになりました。実際、多くの書店では、英語の教材で一区画が埋められているほど現在は英語「ブーム」ですし、学校の英語教育も小学校からスタートするようになったことや、少子化によって多くの家庭で、子供一人ひとりにかけることのできる教育費が上がったことなどを考えると、あながち間違いではないのかもしれません。
しかし、これらはあくまで想像にすぎません。根拠のない想像をここで書いても仕方がないので、実際にもっと客観的な証拠がないものか調べることにしました。結論から言えば、確かな証拠となる情報を見つけることはできませんでした。しかしながら、一つ興味深いデータが、日本英語検定協会から発表されていました。それによると、2011年度から2015年度にかけて、英検の小学生受験者数は24%も増加したというのです。しかも、2015年の第1回と2016年の第1回の小学生受験者数は10%増となっているとのこと。
現在30代の世代が小学校だったころ、英検受験者といえば、多くが中学生で初めて英検を受けるというのが普通でした。小学生で受けるのは一部の英語学習を徹底的にやっている特殊な子と認識されていました。(少なくとも子供たちの間では)。それは単純な話、英語は中学から学習するのが普通であり、小学校ではABCの書き方すらもよくわからない状態なので、英検などそもそも受けられるはずもなかったからです。これらの事実から、現在の学校教育も合わせて確実に英語の早期学習化が進んでいることが伺えます。ですが、これだけでは小学生の英語のレベルが「上がった」とは言いきれません。より正確にみるために、どの級を受験しているのかを見てみました。
なんと、2015年の第1回と2016年の第1回の比較において、小学生志願者数が最も増えたのは英検準1級なのだそうです。TOEICのスコアで表現すると、準1級はおよそ700点台前半(諸説あります)に相当します。残念ながら、合否のデータは見つかりませんでしたが、志願者はそれに準じた能力を持っているはずです。5級や4級などは、親に言われたからとりあえず受けるという小学生は多くいそうですが、準1級ともなると、ある程度勉強に励んで実力がついてこなければ、そもそも「志願する」という発想には至らないからです。
一昔前までは、中学卒業までに3級、高校卒業までに2級取れれば優秀と言われていました。この事実からも、小学生で準1級を志願するということが、いかに飛び抜けているのかがわかるかと思います。とはいえ、総務省統計局によれば、2016年の全国の小学生総数は640万人であり、それに対する2016年第1回の英検小学生受験者総数はわずか6.3万人。まだまだ、英語ができるスーパー小学生はほんの一部ということになります。ただし、確実に「英語ができる」小学生が増えてきているという事実には間違いないようです。