日本人が、自身の英語力を客観的に示すためによく利用されている試験と言えば、TOEIC(Test of English for International Communication)や英検などです。同じように、外国人が日本語能力を客観的に示すために利用している試験も存在します。それは、JLPT(Japanese Language Proficiency Test)日本語能力試験です。
日本語能力試験は全部で5つの「級」が存在し、N5の初級からN1の上級まで存在します。試験内容は、「文字」「語彙」「文法」に加え、「読解」「聴解」を試すものとなっており、およそ6割以上(N1は7割)を正解すれば合格となります。
日本では、最高ランクのN1レベルを取得していることを条件とした求人が多く、最低でもN2を持っていないと「日本語が流暢ではない」とみなされるようです。これを逆に言えば、N1を持っている外国人は、日本のビジネスシーンで問題なく活躍できるだけの力があるということです。もう少し具体的に言えば、日本語能力試験の公式ページによれば、N1の取得者は以下の能力があるとされています。
■日本語検定試験のN1レベル合格者
・幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の内容や構成を理解することができる。
・幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成を詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる。
(※上記は、日本語検定試験Webサイトより抜粋)
また、多くのN1保持者はおよそ2,000の漢字を使いこなし、10,000の語彙を操れるそうです。我々日本人が9年間の義務教育で学ぶ漢字の総数も約2,000文字であることを考えると、かなり流暢に日本語を使いこなせるレベルであることがわかります。
もちろん、外国人にとってN1取得はそう簡単ではありません。それでも去年2016年の第2回試験では、国内では10,152人、海外でも64,866人がN1を取得したのです。この数字はかなり脅威的ではないでしょうか?半年毎に10,000人もの「日本語ペラペラ」を公証できる外国人が国内で、また海外ではその6倍以上のおよそ65,000人が誕生しているのです。また、この時のN1試験では、国内受験者の合格率は29.8%に対して、海外受験者の合格率は30.9%でした。ほとんど率が変わらなかったのです。さらにN2においては、国内28.4%に対し、海外39.8%となりました。
これらの数字は、その言語が使われている国に住んでいなくても、言語は勉強すれば必ず上級レベルに到達することができる。逆に、まじめにやらなければ、せっかく学ぼうとしている言語を話す国にいようとも身につかないということの証明なのかもしれません。もちろん、何が原因でこういう結果になっているのかは一概には言えませんが、少なくとも、異国の言葉を自国でもきちんと学べるということには間違いないでしょう。
この話は、勉強している言語を話す国に行かないとその言語を習得することはできないと思っている方には朗報です。なぜなら海外には、自国にいながら日本語を上級レベルまで伸ばした人たちがたくさんいるのです。他言語を習得するという難易度が、どの言語においてもおおよそ同じであると仮定すれば、彼らにできて私たちにできないことなどありません。日本にいながら英語を勉強していて、そこに行き詰まりを感じている方!もう一度自分を信じてみましょう!